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Scenario - dark

救世の代償

N 11台詞 この物語の始まりと終わりを知る人物。(ナレーション)
少女 7台詞 この物語の主人公。死を間近に控え、ベッドの中に居る。
役名 番号 台詞
N 01_n01 何処か遠く、誰も見たことのない世界で。
果てなく遠い、誰も聞いたことのない国で。
一夜にして起こった不思議なお話。
『お伽話』と呼ぶには少々痛々しいそのお話は、ある少女の死から始まる。
 
少女 02_g01 「お兄様…私、死ぬの…?」
N 03_n02 細くか弱いその声に、目の前でただ微笑むだけの兄は決して応えはようとはしない。
少女 04_g02 「………そうよね、分かっているわ。これは私の運命。誰にも止める事など出来ない」
N 05_n03 強い光を宿した瞳からは、死に対する畏怖など微塵も感じられない。
絶望すら焼き尽くしそうなその瞳は、ただ一点を見つめている。
少女 06_g03 「私、知っているのよ。私の運命が誰の手によって紡がれたものなのか…」
N 07_n04 少女の声は変わらずか細い。けれどその意思は雷(いかづち)よりも鋭く兄の瞳に恐怖を宿す。
少女 08_g04 「……でもいいの。これで世界が一つ救われるのでしょ?それはとても素敵なことだわ」
N 09_n05 少女は笑顔で続ける。
少女 10_g05 「私の命なんて、あなたにとっては何の意味も為さないガラクタだったのでしょう?」
N 11_n06 見る間に青褪める兄に、少女は色のない瞳で留めを刺す。
少女 12_g06 「あなたの大好きなこの国と、末永くお幸せに」
 
N 13_n07 その言葉を最期に、少女の唇は二度と開くことはなかったとされている。
けれど兄の耳にはしっかりと刻み込まれていた。
少女が瞳に宿した、本当の意味が。
 
少女 14_g07 『私が救うのは枯れ果てたこの世界だけ。あなたの幸せを約束する義理はないわよね…?』
 
N 15_n08 こうして少女が灰と化して消えた後(のち)、世界に赤みを帯びた金の雨が三日三晩降り続いたと言う。
それと時を同じくして、兄の瞳からは真っ赤な雫が流れ落ちていた。
三日三晩かけ漸く止まった頃には、その身体はもう、人の形すら成していなかったと聞く…
 
N 16_n09 何処か遠く、誰も見たことのない世界で。
果てなく遠い、誰も聞いたことのない国で。
一夜にして起こった不思議なお話。
「お伽話」と呼ぶには少々痛々しいそのお話は、ある青年の死によって幕を閉じる。
N 17_n10 哀しき運命を背負わされし少女と、冷酷な笑みをたたえ続けた青年の、
聞くに堪えない一夜のお話。
 
N 18_n11 あなたの暗き意思、よもや晒されてはいまいでしょうな…?
formed by N的シナリオチェンジャー
2008.08.29

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