Girl - word
≪ 01 ≫
扉の番人2
私はあなたがいる世界とは違う世界に住まうもの。誰も見たことがない、けれど誰もが知っている。そんな世界に住まうもの。人はそれを『夢』と形容するのでしょう? どんなに美しいのだろう、どんなに穏やかなのだろと想像し、私の世界へ入り込もうとする。土足で穢す。それが私には我慢できない。ならば、あなたをご招待いたしましょう。あなたの探し物は、別世界への扉。その扉の鍵を、私はこの手にしている。さぁ、あなたの探し物は此方です。その目でしかと見ればいい。『夢』がどれ程恐ろしく汚らわしいものなのかを…
扉の番人1
探し物、見つかりました? …どうしたんですか? そんなに驚いた表情(かお)をして。昨日、『探しものをしている』と教えてくださったのはあなたではないですか。 えぇ、そう、『夢の中で』ですけれどね。けれど、ここは現実。夢ではない。ほら、触れて? ね、こんなにも私の手は暖かいのです。まるで現実ではないかのように…あはは、すみません。困惑させてしまいましたね。大丈夫、ここは間違いなく現実です。あなたのいる世界、あなたが抜け出せない現実。どんなに足掻いても、ね…。…さぁ、もう一度問いましょう。「探し物は、見つかりましたか?」
身勝手な生き物
手に入らないときは激しく欲するくせに、一旦手に入ると途端に興味を無くす…人間というのは、一体どこまで身勝手な生き物なんだろうね。
トケイ
止まってしまった針を、無理に回そうとしてはいけないよ。それは偉大なる神に背くことになる。それだけは、してはいけないんだ。例えそれが、自分自身の心の針だとしてもね…